無趣味はいかんと将棋を始めて早六年
途中機種変してログインできないというトラブルに見舞われながらも
ついに私は初段の壁をぶち破り、十切れ二段になることができました
初段初回の昇段チャレンジだったこともあり、あまりのあっけなさにしばらく二段昇段の実感が湧いてきませんでした
最後の対戦相手が三連続初段で、達成率もギリギリ足りない?くらいだったのも原因だと思います
20.1%のギリギリで昇段して、格上を倒して二段の仲間入り!という通過儀礼を果たせていなかったので、本当に上がっちゃっていいの?という困惑が
けどまあ、運も実力のうち。ちょっと腑に落ちない昇段だけど、二段に代わりはありません
ということで今回は、十切れ初段から二段を目指す人向けに、私がどうやって初段から二段に上がったのかという体験談をつづっていこうと思います
特別なことはなにもしてない
はい。もうここで話は終わってしまいます
というのも、私が初段から二段に上がるためにしたことは何もないんです。しいていえば、戦法を三間飛車から四間飛車に切り替えたぐらいでしょうか
何もしないといっても、将棋の勉強を全くしなかったというわけではありません
正確には、『勉強方法を変えてない』という話です
動画見て、対局して、さらっと感想戦して、詰将棋解いて、無料の定跡や手筋や次の一手をちょろちょろと・・・・
特別ノルマを設けるようなこともなく、本を買って読み込むなんてこともなく、道場へ出向くなんてこともなく。無料でできる範囲内で、一人孤独に、意識低めで取り組んでました
“そんな適当で二段になれるの?”
はい、なれます。確実になれます
1級から初段になって気付き、二段と対戦して、二段に昇段して確信したことがあるんです
誤解を恐れずに言います。1級も初段も二段も、大した違いはありません
ほぼ同列の棋力
煽っているように聞こえますか?でもちょっと振り返ってみてください
本当に格下か?ってくらいバカ強い相手と当たったり、逆に本当に格上か?ってくらい雑な将棋を指す人と当たったり
もちろん段位が確定してない恐怖の級位者の場合や、棋神で上がってきただけのハリボテの場合もないことはありません
それを差し引いても、”なんでコイツより俺は下なんだ”というモヤモヤを一度でも感じたことがあるはずです
どうしてそう感じてしまうのか。それは、みんなの棋力がほぼ同列だからです
1級と初段と二段レベルになると、ほぼ将棋の基礎が完成されています
それゆえに大きなミスが少なく、互角の展開に持ち込むことが多くなるのです
だから強さ自体に大差はなく、純粋な実力では拮抗していると言えます
差は”経験”と”知識”
しかし、実際は1級・初段・二段という上下が存在します
その上下を決めているものこそ”経験”と”知識”なわけです。逆に言えば、”経験”と”知識”を積んでいけば、おのずと二段になれます
私は三間飛車から四間飛車に戦法を切り替えたとき、それはもうコテンパンにやられました
余裕で勝ち越してなきゃいけない格下相手にも、もう情けないくらいに負けまくりました
初段の実力があるはずなのに勝てない。ショックでした。いままでの自分を全否定されているような気分でした
回りは私がやってない勉強法。本とか道場とか将棋仲間でメキメキ実力をつけていて、私は次々に追い越されているのだと恐怖しました
私も手を出した方がいいのか。一度読んだっきり開いていない将棋本や、恥ずかしくて未だ行けてない将棋道場。勉強だとか努力だとか頑張るとかがキライな私にとって、それはあまりにハードルが高いと半ば諦めていました
でも、棋力にほぼ差はない
その事を思い出して、四間飛車の”経験”と”知識”がないから負けまくっていると気付いたその瞬間、二段への道が開けたのです
一から積み上げる
“それでも四間飛車で二段になりたい”
一見するとバカな行動に見えるかもしれません
少なくとも、私は三間飛車で初段に上がりました。なので、三間飛車は初段レベルの”経験”と”知識”の貯金があります
なのにそれをほっぽって、同じ振り飛車とはいえ四間飛車に転向するということは、これまでの”経験”と”知識”を生かしきれなくなってしまいます。その選択は、間違いなくバカでしょう
でも、それは勝つことだけを目的にした考え方です
私は色んな対局を楽しんで、色んな戦法を指しこなして、その上で勝利したいのです
だからこそ、私は四間飛車で一から積み上げる決心をしました
といっても、四間飛車はもっとも歴史のある戦法。あまりに膨大な学習量は、とてもすべてを覚えきれるわけがありません。”経験”はどうにかなるにしても、その”知識”の多さには頭を抱えるしかありませんでした
四間飛車がどん詰まりを迎えていたその時です。私の前に、神が降臨します
しょうめいの四間飛車研究所様
私が十切れ二段になったのは、この人のおかげと言っても過言ではありません
数々の動画を見てきた中で、これほどわかりやすく、丁寧で、痒いところに手が届く解説を私は見たことがありません
“四間飛車の知識を手軽に吸収するのならこれ一択”。そう断言するほどの信頼と感謝の念を寄せています
効果はすぐに現れました。四間飛車の基礎的なことから、攻撃・防御、対策と。噛めば噛むほど味の出るスルメみたいに、ウォーズでの互角の対局が増えていきます
苦戦していた右四間、手詰まりになりがちの角交換振り飛車、多少覚えのあった相振り飛車。”経験”と”知識”を積み上がるにつれ、着実に達成率が上がっていきます
そうして私の四間飛車は、ついに開花の時を迎えました
昇段戦
ついに運命の昇段戦を迎えます。ですが、この時の私は全く緊張していませんでした
昇段するなんて微塵も考えていなかったというのもあります。けれど一番大きかったのは、昇段に対する考え方だったと思います
『昇段は頑張ってするものではない。自然とそうなるもの』
前回の初段昇段戦で一喜一憂を繰り返した末に辿り着いた心境でした
達成率も90%台に上がり、初段は目前。しかし、残りあと数%が届かない
悔しくもなります、怒りもします、ムキにもなります。案の定、そんな心境で指す将棋はボロボロ
私は達成率の増減で一生遊ばれていました
“ほんの少し、あと少し。このちょっとの差を埋める、奇跡よどうか起きてくれ!”
その時、私はハッと気付きます
いま私は、実力以上の結果を望んでいるということに
恥ずかしくなりました。まだ1級の器なのに、初段の器を欲する傲慢さに気付いたのです
“私はまだ、初段の器じゃないんだ”。”あと少しが届かないのなら、あと少し積み上げてみよう”
対局は負け、昇段はまた遠のきます。しかし達成率が下がっても、私の心は晴れやかでした。そして、同時に恐ろしくもありました
もしも奇跡が起きて、初段になっていたとしたら
文不相応な初段を早々に追い出されて、将棋がキライになっていたかもしれない
せっかく見つけた将棋という趣味を捨ててしまうかもしれない未来が見えて、私は恐ろしくなったのです
そんな気持ちで迎えることができた昇段戦です
・・・・あの、いままでの流れ全部無かったことにしていただけませんか?
まとめ
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