やぁ、こんにちは。おおきなかぎだよ
今回は、不幸が私を鬼にする?そんな小説内における心についてお話しするね
歴史という一解釈
突然だけどみんなは、恥ずかしくて忘れたい黒歴史を持ってるかな?
その瞬間は根拠もなく自信満々だっただけに、振り返った時の破壊力は凄まじいよね
みんなと集まった時に蒸し返されたりした日には、顔から火が出るほど恥ずかしくなっちゃう!
そういう時に限って、楽しかった思い出じゃなくて恥ずかしくて思い出したくない黒歴史合戦になるのはやめてほしいよね
物語の人物にも、多くの場合辛くて悲しい過去が設定されていることがあるよ
でも、本編で触れられる割合はとっても少ない
設定を組み立てる手間はもちろん。物語のテンポも悪くしてしまうし、本編より前の出来事なのだから、悲しい過去は必要ないんじゃ?
どうして登場人物には、時として悲しい過去が必要なのかな?
そんな時は、この言葉を思い出して?
それはスバリ!「心とは歴史」だからだよ
なぜ心=歴史なの?
時代
理由は大きく分けて三つ
一つ目は、『時代』だよ
フランケンシュタインで有名なフランケンシュタイン博士は、未だかつて人類が成し遂げていない偉業。生命の創造に着手するよ
試行錯誤の末。博士はその類稀なる才覚を発揮して、なんと独力で生命の創造を達成してしまうんだ
研究場所・協力者はもちろん、助手も配置せず、資金援助も募らずに目的を果たした博士はまさしく稀代の天才だね!
けれども、彼はその後のことについては無計画だったよ。生命の創造が目的で、生み出した生命については特に考えてなかったんだ
苦難の末、ついに念願かなって動き出す死体
完成して喜ぶのもつかの間。動き出しこちらを見下ろす怪物の恐ろしさに、博士は逃げ出してしまうんだ
ことの重大さに気づいた時にはもう手遅れ
この世界に悲しきモンスターが解き放たれてしまった瞬間なんだよ
十八世紀のヨーロッパ社会では、人工の生命体なんてものは先鋭的すぎて、誰も求めている人がいない状況だ
そんな時代に生み出されてしまった人造人間。当然、彼がどんな仕打ちを受けるか、博士はもっと慎重に考えるべきだったね
場所
二つ目は、『場所』だよ
目覚めたと思ったら博士に逃げられて、会いに行っても逃げられて
なんの説明もないまま、彼は外の世界へと解き放たれてしまうよ
けれど残念なことに、飛び出した世界は彼にとって、とっても冷たい場所だったんだ
欧州の中心。南ドイツに位置するインゴルシュタット
ヨーロッパ社会のど真ん中と言えるこの場所で、異端の彼に人間社会での居場所なかったんだよ
安全な隠れ家もなければ、食べ物だって安定して確保できない。死体から合成された容姿では、友達はおろか恋人さえできっこない
この世界の人々が当たり前のように持っている権利を、自身は持ち合わせていないことを徐々に理解していくにつれて。彼はやがて、自身の出生を呪い始めるんだ
出来事
三つ目は、『出来事』だよ
博士への恨みは、やがて激しい復讐心へと変わっていくんだ
というのも、彼は出会った人々に総じて拒絶されてしまうよ
言語を習得しても、親切を働いても、慎ましやかな幸福を望んでも。恐怖のあまり逃げ出されたり、武器を手に討伐されそうになったり、激しく罵ら拒否されたり。彼の取る行動全てが裏目に出てしまうんだ
人はどんな手を尽くしてもダメだと悟った時、その対象への関心が持てなくなってしまうよ
だから彼は、誰が傷つこうが、誰に恨まれようが、誰が亡くなろうがどうでも良くなっちゃうんだね
物語上の人物に生き生きとした”心”を持たせるためには、その人物の軌跡である”歴史”が必要になってくるんだよ
とまぁ、こうした理由で心とは歴史なわけなのです
最後まで見てくれてありがとう。ばいば~い!
参考
【100秒でわかる名作劇場】フランケンシュタイン
青空文庫 フランケンシュタイン
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